こんにちはブログ担当のYです。

今回は、数学や哲学のパラドックス「眠れる森の美女問題」を紹介します。

これは有名な問題で、さまざまな哲学者や数学者が見解を示しています。

眠れる森の美女問題

以下のような実験を行います。あなたは同意をしていて、どのような実験内容かも事前に把握しています。

まず、あなたは薬を使って眠りにつき、研究者がコインを一枚投げます。

コインが表だった場合、あなたは起こされたあと質問を受けます。

その後もう一度薬を使って眠りにつきます。

コインが裏だった場合、表の時と同様に起こされた後質問を受け、もう一度眠らされます。

そして、その後もう一度起こされ、質問を受け、眠らされます。

最終的にあなたは起こされ、実験は終了です。

薬を使って眠らされた後、あなたは一時的に記憶を失い、実験開始時点からの記憶がありません。

つまり、起こされたのが何回目か覚えていないのです。

そして、質問の内容はすべて同じで、「この実験で投げられたコインが表だとどれくらい信じていますか?」というものです。

あなたはこの質問に対して、どのように答えますか?

※コインは偏りがなく、表と裏は同じ確率で発生します。

解説

この問題には大きく分けて2通りの見解があります。

今回はその2つ、1/2派と1/3派について紹介します。

1/2派

そもそもコインには偏りがなく、表と裏が出る確率は1/2ずつ、目が覚めた時に新しい情報が得られるわけではないため、確率はそのまま1/2である。

というのが1/2派の考え方になります。

1/3派

あなたが目を覚ますという事象について、すべてのパターンを考えます。

・コインは表、起こされたのは1回目

・コインは裏、起こされたのは1回目

・コインは裏、起こされたのは2回目

起こされた時にこれらを区別することは不可能なので、どれも確率は同じはず。

すなわちコインが表だった確率は1/3である。

というのが1/3派の考え方です。

筆者の考え

私は、コインが表だった確率は1/3であると考えています。

ベイズ推定という考え方があります。

ベイズ推定(ベイズすいてい、: Bayesian inference)とは、ベイズ確率の考え方に基づき、観測事象(観測された事実)から、推定したい事柄(それの起因である原因事象)を、確率的な意味で推論することを指す[1]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%82%BA%E6%8E%A8%E5%AE%9A

ベイズ確率(ベイズかくりつ、: Bayesian probability)とは、確率の概念を解釈したもので、ある現象の頻度や傾向の代わりに、確率を知識の状態[1]を表す合理的な期待値[2]、あるいは個人的な信念の定量化と解釈したものである[3]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%82%A4%E3%82%BA%E7%A2%BA%E7%8E%87

これのわかりやすい例を挙げてみましょう。

目の前にAとBという箱があります。

その中にいくつかボールが入っています。

Aには赤いボールが1つ、青いボールが2つ。

Bには赤いボールが3つ

あなたは目隠しをして、AとBどちらかの箱からボールを一つだけ取り出しました。

目隠しを外すと、それは赤いボールでした。

さて、あなたがボールを取り出したのがAの箱だった確率はどれくらいですか?

この問題を考える際に「観測事象」は何かを考えます。

この場合だと「赤いボールを取り出した」という事象になります。

そこから「推定したい事柄」である、「Aから取り出した確率」を求めていきます。

まず、この問題が始まる前、ランダムにボールを取り出すと考えた時、次の3通りの事象が考えられます。

・Aから赤いボールを取り出す

・Aから青いボールを取り出す

・Bから赤いボールを取り出す

それぞれの確率はボールの個数によって次のように決まります。

・Aから赤いボールを取り出す(1/6)

・Aから青いボールを取り出す(1/3)

・Bから赤いボールを取り出す(1/2)

これは問題が始まる前の「事前確率」です。

これを観測事象に基づいて「事後確率」に更新します。

「赤いボールを取り出した」という観測事象から、2つ目のAから青いボールを取り出すという事象を除外することができます。

すると残るのは以下の2つになります。

・Aから赤いボールを取り出す(1/6)

・Bから赤いボールを取り出す(1/2)

この2つの確率を足すと、2/3になるので、それに合わせて条件付き確率を考えます。

・Aから赤いボールを取り出す 1/6 * 3/2 = 1/4

・Bから赤いボールを取り出す 1/2 * 3/2 = 3/4

したがって、取り出したボールがAの箱からだった確率は1/4になります。

眠れる森の美女問題を同じように考える時、次のような仮定を考えます。

あなたが質問をされる前に「今あなたが起こされたのは○回目です。」という情報が与えられます。

するとどうでしょう、もし「1回目です」と言われたら、確率は1/2のように感じませんか?

また、「2回目です」と言われたら確率は0で確定します。(表の場合は1回しか起こされない)

これをベイズ推定に当てはめると次のようになります。

観測事象は「あなたが起こされたのは1回目と言われる」

事前確率として、次のように考えていた。

・コインは表、起こされたのは1回目(1/3)

・コインは裏、起こされたのは1回目(1/3)

・コインは裏、起こされたのは2回目(1/3)

1回目と言われたので、2回目を除外して考える。

・コインは表、起こされたのは1回目(1/3)

・コインは裏、起こされたのは1回目(1/3)

確率を足すと2/3、条件付き確率を考える

・コインは表、起こされたのは1回目 1/3 * 3/2 = 1/2

・コインは裏、起こされたのは1回目 1/3 * 3/2 = 1/2

つまり、起こされたのは1回目です、と言われたことで1/2になるのなら、逆説的に何も言われなかった時は1/3であったはずと考えられます。

仮に、初めから1/2であったとすると、1回目と言われても何も変わらないか、1回目と言われると表の確率が2/3になる、のどちらかになります。

どちらもあまり直感的ではないので、私は1/3だと考えています。

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